富山県知事肖像

富山県知事 石井隆一

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 天皇皇后両陛下におかれましては、去る5月下旬の3日間、昭和44年の第20回大会以来48年ぶりに本県での開催となる「第68回全国植樹祭」へのご臨席及び県内事情のご視察をいただきました。
幸い3日間を通じて素晴らしい好天に恵まれ、県内外からの多くの皆さんのご参加のもと、諸行事が滞りなく進められました。
 ご訪問先や沿道で多くの県民の皆さんが両陛下を熱烈に歓迎されるなか、両陛下は終始お優しい笑顔で手を振ってお応えになるとともに、各地で県民や子どもたちを温かくお励ましいただきました。(6月30日)

1記念式典での歓迎.jpg 天皇皇后両陛下におかれましては、平成27年10月の「第35回全国豊かな海づくり大会」以来1年7か月ぶりに富山県にご来県いただき、5月27日から29日までの3日間、昭和44年の第20回大会以来の本県での開催となる「第68回全国植樹祭」へのご臨席及び県内事情のご視察をいただきました。

 幸い、「全国植樹祭」は、県内や全国からの多くの皆さんの参加のもと滞りなく進められ、①大会テーマの「かがやいて 水・空・緑のハーモニー」の趣旨や、②森づくりと海づくりの連携の考え方に立ち、林業や漁業の関係者、森林ボランティアなど幅広い県民が参加する、森・川・海を一体とした幅広い環境保全活動、③「水と緑の森づくり税」を活用した明るい里山づくりや荒廃した奥山の再生、④優良無花粉スギ「立山 森の輝き」を活用した持続可能な森づくりの取組みなどを全国に向けて発信でき、誠に喜ばしく思っております。

 この3日間、好天に恵まれ、式典会場やご訪問先、沿道には約6万7千人もの県民の皆さんが参加され、両陛下を温かく熱烈に歓迎されました。両陛下には、終始、お優しい笑顔で手を振ってお応えになり、県民の皆さんの歓迎を大変お喜びになっておられたご様子で、私自身も、両陛下を、県民の皆さんとともにこのようにお迎えできたことを誠にうれしく存じました。

 平成26年8月に、大会の主開催地が本県の魚津桃山運動公園と決定されて以来の2年9か月間、開催に向けての準備などに大変ご協力、ご尽力をいただいた村椿市長をはじめ魚津市の皆さんや関係団体、ご視察先の関係の皆さん、心をこめて温かく両陛下をお迎えいただいた多くの県民の皆さんに、深く感謝申しあげます。

 以下、主な行事について、その概要をご報告いたします。

 

【5月27日(土) 行幸啓初日】

 両陛下は、北陸新幹線の臨時専用列車で、予定どおり、午後1時33分に新高岡駅に到着されました。私も、稗苗県議会議長、白井県警察本部長、髙橋高岡市長、曽田高岡市議会議長とともに、ホームでお出迎えをさせていただきました。

 

2新高岡駅.jpg 駅前では、1,400人もの大勢の高岡市民の方々などがお迎えをされ、日の丸の小旗を振っての温かい歓迎のなか、両陛下はお手振りをされながらご視察先である高岡御車山会館へ向けご出発されました。私も稗苗県議会議長と一緒に自動車のお列に加わらせていただきましたが、沿道にも、7,260人もの多数の方々が、日の丸の小旗を振り、歓迎されていました。沿道の皆さん全てが、明るい笑顔で敬愛の気持いっぱいに歓迎されているのがとても印象的で、私自身も大変うれしく思いました。両陛下には笑顔で手を振ってお応えいただき、県民の皆さんも両陛下のおやさしいお姿に、大いに感激され、尊敬と親愛の思いをさらに深められたのではないかと感じました。

 

3新高岡駅での歓迎.jpg

1 高岡御車山会館

 まず、両陛下には、高岡御車山会館をご視察いただきました。吉田弥一郎御車山保存会長をはじめ、裃(かみしも)姿の山町の住民の皆さんが、児童、園児と一緒に多数お出迎えされ、熱烈に歓迎されました。林昌男館長から、高岡御車山祭が、高岡開町の祖である前田利長が豊臣秀吉から譲り受けた御所車を町民に与え、それが祭りに発展した歴史を持つことをはじめ、山車の構造や装飾、祭りの運営方法などについてご説明がありました。金工品としては最上品と言われる二番町の山車の実物展示をご覧になられ、現存する7基の御車山のなかで唯一2輪(他は4輪)であることや、車輪や唐垣地幕(からがきじまく)に前田家の梅鉢紋、天皇家の菊紋、豊臣家の桐紋が施されていることなどの説明を受けられました。天皇陛下は、「2輪でも安定性が良く作られているのですね」、皇后陛下は来年3月完成予定の「平成の御車山」について「螺鈿(らでん)を使っていらっしゃるのですね」、「あれは龍でしょうか」などとお話になり、熱心にご覧になりました。また、私から、昨年11月末、日本の曳山祭り33件がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、そのうち本県では、「高岡御車山祭」、「魚津のタテモン行事」、「城端神明宮祭の曳山行事」の3件が登録され、各保存会の方々はもとより県民挙げて大変喜ばしく思っていること、今後も県内各地の曳山などの伝統文化を大切に継承してまいりたいことを申しあげ、ご関心を持ってお聴きいただきました。なお、稗苗県議会議長、髙橋市長、曽田市議会議長にも随従していただきました。

 

4高岡御車山会館.jpg

2 県勢概要のご説明

 その後、両陛下は、高岡市から北陸自動車道経由で富山市でのお泊所のANAクラウンプラザホテルにご到着されました。ANAクラウンプラザホテル前や、そこに至る沿道においても、多くの富山市民の皆さんに熱烈に歓迎いただきました。その後、宮内庁からの事前のお求めにより、同ホテル内で、私から、両陛下に県勢概要についてご説明申しあげました。両陛下には、豊かで美しい富山の自然・風土の特色や北陸新幹線をはじめとする社会資本整備、産業、教育、文化、スポーツ振興などについてご説明申しあげ、大変ご熱心に耳を傾けていただきました。特に、少子化対策・子育て支援などについてご関心をお持ちになりましたので、この10年余り、富山県ではいわゆる保育所待機児童はゼロの状態を維持できているとお話したところ、「それは良いことですね」とのお言葉をいただきました。また、富山県は近年、日本海側ではトップクラスのものづくり県とされてきましたが、2年3か月前の北陸新幹線の開業の効果もあって、観光客の増加、企業の本社機能の東京からの一部移転、研究開発センターの移転・立地、大型商業施設の進出等が相次いでいること、さらに、8~9年前までは、種々努力してもせいぜい年間200人程度だった富山県への移住者が、3年前から400人を超えるようになり、昨年は年間565人に増加したことや、その7割が20~30歳代の若い世代であることなどについて申しあげましたところ、「若い人が増えることは良いことですね」とのお言葉をいただき、ありがたく存じました。

 

5ライチョウ、移住転職フェア.jpg 

 また、天皇陛下から「富山県は県民所得が高いそうですね」とのお言葉がありました。14、5年前頃は、一人当たり県民所得は公表時点では全国で10番台半ばでしたが、徐々に上がり、最近公表された平成26年度では全国5番目になったとお答えしたところ、「森づくりなど自然環境保全にも熱心といわれていますが、どうして所得が高いのですか」とご質問をいただきました。私からは、富山県民は勤勉で、北前船、売薬の歴史にみられるように、進取の気性を持って仕事に取り組む人が多いことからではないか、また、男性も女性も働き者で、共働きの比率も全国トップクラスといったこともあるのではないか、とお話申しあげました。

 文化の面では、天平18年(西暦746年)から5年間、越中の国守を務めた大伴家持の生誕満1300年が来年であるため、一昨年から様々な記念事業を企画・実施していることをご説明しました。万葉集の実質的な編纂者といわれる家持が越中で詠った歌だけでも223首登載されていることや、また聖武天皇の大仏建立のための資金確保など、行政官としても種々の功績があることをお話ししたところ、相当にご関心を持っていただけたように感じました。

 皇后陛下からは、富山の薬、配置薬などについてご質問があり、富山の売薬、配置薬が東京を含めて全国に販路を広げ、現在でもそのネットワークが存続していることをご説明しました。皇后陛下は、とやまの売薬商人が、各家庭を訪れる際、お子さん用に紙風船を配るなど、さまざまな工夫をし、消費者の信頼を得る努力をしてきたことをご存知で、「長年努力され、多くの方に知られていますね」というお言葉をいただき、大変ありがたく存じました。

 

6高志の国文学館、大伴家持像.jpg7海越しの立山連峰.jpg

3 作品御覧及びレセプション

 次に、両陛下には児童生徒の「大会ポスター原画及び国土緑化運動・育樹運動ポスター入賞作品展示」をご覧いただき、受賞した7人の子どもたち一人ひとりに、さらに保護者の皆さんにも温かいお言葉をかけていただきました。

 両陛下は、特に、大会ポスターの「森と水と」(富山市立東部中学校3年※H27年受賞当時 浅井さくらさんの作品)を印象深く感じられたご様子で、3日目の5月29日にご視察いただいた高志の国文学館にも展示していたところ、皇后陛下が立ち止まられ、「素晴らしい作品ですね」とのお言葉をいただきました。

 

8作品御覧.jpg

 その後、両陛下のご臨席を仰ぎ、大島大会会長(衆議院議長)、山本農林水産大臣をはじめ、県内外の大会関係者の皆様が出席される中で、全国植樹祭のレセプションが行われました。

 主催者としてのご挨拶で私から、本県が標高3,000メートル級の立山連峰から水深1,000メートルを超える富山湾までの高低差4,000メートルを、直径40~50キロメートルの富山平野がつなぐダイナミックな地形で、立山に降り注ぐ世界有数の大量の雨と雪が河川水、伏流水、地下水となって流れ、肥沃な富山平野を育み、富山湾を豊穣な海にしていること、したがって、本県では、森・川・海を一体としてとらえ、森づくりと海づくりの連携を進めていることなどをお話しました。その後、両陛下に大島大会会長に次いで、短い時間でしたが、妻とともに懇談の機会をいただき、また、稗苗県議会議長ご夫妻、村椿魚津市長など関係市町の長、議長、鶴巻NPO法人森林総合支援センター理事長や、桃野県森林組合連合会会長、西村県木材組合連合会会長など県内外の緑化功労者等の皆さんと親しくご懇談いただきました。また、綿貫元衆議院議長ともお言葉をお交しになられました。また、県が開発した新品種のお米「富富富(ふふふ)」の塩にぎりや、ホタルイカの釜揚げ、県産イノシシのモモ肉の煮込みなど、富山の海や山の幸を使った料理を出席者の皆さんにご用意し、17銘柄の地酒と共に富山の食を楽しんでいただきました。

 

9レセプション.jpg

【5月28日(日) 行幸啓2日目】

 両陛下をお迎えしての「第68回全国植樹祭 富山大会」の概要

 

10記念式典会場.jpg 式典のプロローグとして、立川志の輔師匠のビデオレター上映やTomomiさんの歌唱、県洋舞協会の皆さんによる「立山の精、輝く森、川、海とそのハーモニー」をテーマとした創作舞踊が行われ、いずれも素晴らしい出来映えで、大会を盛り上げていただきました。

 

11式典プロローグ.jpg

 その後、午前11時に天皇・皇后両陛下の御着があり、記念式典が開会されました。大島大会会長と私からの主催者あいさつ、表彰、苗木の贈呈の後、両陛下によるお手植え・お手播きのほか県内外の特別招待者等による代表者記念植樹がなされました。

 天皇陛下には、優良無花粉スギ「立山 森の輝き」、コシノヒガン、ヒメコマツの苗をお手植えいただくとともに、エドヒガンとタブノキの種子をお手播きいただきました。また、皇后陛下には、コシノフユザクラ、キタコブシ、ホオノキをお手植えいただきますとともに、ヤマザクラ、マルバマンサクの種子をお手播きいただきました。

 このお手植え、お手播きの際には、両陛下とも、直接、苗や種をお渡しした「魚津花とみどりの少年団」の児童一人ひとりに、お優しく話し掛けておられました。天皇陛下には国土緑化推進機構の佐々木理事長が、皇后陛下には私が各御先導役を務めさせていただきましたが、その際、皇后陛下のお手植えを少しだけお手伝いさせていただきました。皇后陛下が児童に対して、ホオノキについて「大きな葉っぱですね」、「大きく育つといいですね」などと話し掛けられたり、お手植え後に鍬を児童にお返しになる際に、「ちょっと汚れたけどごめんね」とお優しく気遣いをされたのが印象的でした。

 

12お手植え、お手播き.jpg

 また、大会テーマのアピールでは、まずは、約1300年前に5年間、越中国守を務めた大伴家持が、越中で詠った歌が万葉集に223首登載されていますが、そのうち2首を、オペラ歌手の澤武紀行さんと高野百合絵さんによって朗々と歌唱いただきました。作曲は、澤武さんが自らされたと伺いました。

・立山の 雪し消らしも 延槻の 川の渡瀬 鐙浸かすも

・片貝の 川の瀬清く 行く水の 絶ゆることなく あり通ひ見む

 続いて、富山県が全国で唯一、県内の中学2年生を対象に実施してきている「社会に学ぶ『14歳の挑戦』」を通じて、林業や漁業を体験した中学生3人(黒部市立鷹施中の木和田君、魚津市立東部中の高瀬君、同西部中の渡邊君)による森と海へのメッセージ発表と、ナビゲーターの石原良純さん、高原兄さん、吉本多香美さんとのトークを通じた決意表明をお聞きいただきました。

 次に、国土緑化推進機構の佐々木理事長から大会宣言が行われました。また、リレーセレモニーとして、私から次期開催県の内堀福島県知事に対し、全国植樹祭のシンボルの木製地球儀(21世紀最初の全国植樹祭の開催にあたり、井波彫刻協同組合で製作)を引き継ぐとともに、この1年間、富山県内で育成してきたエノキの苗木を、エノキが福島県の海岸防災林の早期再生に寄与し、復興のシンボルとして大きく成長することを念じながら、お渡ししました。

 

13式典アトラクション.jpg

 記念式典が終わった後、両陛下が御退席をなされる際、小学生(砺波市立出町小学校、南砺市立井波小学校、同福野小学校)による合唱隊が「ふるさとの空」の合唱でお見送りしたところ、二度も足をお止めになった上で、子どもたちに近付かれ、歌が終わるまでお聴きになり、最後にお二人で拍手をされました。そのお姿を拝見し、会場全体が拍手と感動に包まれたように感じました。途中、両陛下が、この歌はどんな歌かをお知りになりたいご様子でしたので、しばらくはご遠慮申しあげていたのですが、私からこれは5年前に富山県が経済団体、文化団体、有志企業、県人会など幅広い県民のご支援、ご協力により作った新しい県民の歌「ふるさとの空」でございますと申しあげましたら、天皇陛下から「とても、みんな合唱を勉強しているんだね」とのお言葉をいただき、喜ばしく存じました。

 また、式典会場を御発される際に、「今日はありがとうございました」と申しあげましたら、「本当にお天気に恵まれましたね」、「この式典がつつがなく終わってよかったですね」と天皇陛下からお言葉をいただきました。また、大会初の木製テントについて、「作って終わりではなくてまた再利用もできやすいように、職員や関係者が頑張って工夫しております」と申しあげたところ、「木製テントとかいろんな工夫をされていましたね」という犒(ねぎら)いのお言葉をいただきました。

 なお、式場には「魚津のタテモン行事」の山車が3基組まれ、エピローグでは南砺市五箇山の「麦屋節」と魚津市の「せり込み蝶六」が披露されました。

 

14記念式典.jpg

5 お昼の御会食

 式典終了後、両陛下には、ご昼食をお取りになるため、魚津市のホテルグランミラージュにお立寄りいただきました。日本海シーライン開発の石﨑由則会長、瀬川弘一社長がお出迎えをされたほか、地元魚津市の皆さんなど多数の温かい熱烈な歓迎を受けられました。その御会食の席に、大島大会長、山本農林水産大臣、稗苗県議会議長、村椿魚津市長、関口市議会議長などとご一緒に陪席させていただきました。

 両陛下は、「社会に学ぶ『14歳の挑戦』の体験に基づく3人の中学生の発表について話題にされ、天皇陛下から特に、「森づくりと海づくりを連携して考えるということに沿った発表があって良かったですね」とのお言葉をいただきました。また、『14歳の挑戦』を富山県が毎年実施していることについて、私から文部科学省からも高くご評価いただいており、他県でも実施したいとの動きもあったものの、難しい課題があってなかなか実施できない状況にある。幸い、富山県の場合には、各学校と受入れる企業と送り出す家庭、その三者の信頼関係により、前知事の頃からこれまで十数年、実施しているということをご説明いたしましたら、「たいへん良いことですね」というお言葉をいただきました。

 両陛下は、あわせて自然と人の関係についてお話をされました。皇居においても、夏になるとどうしても冷房に頼るという面があったので、両陛下がご相談されて網戸を設置され、自然の風を入れるようにされた。その結果、例えば、夕立が来る前には自ら湿気を感じられるようになられたそうで、人が自然を感じることができ、自然と人が共生することが大事だとお話になりました。

 さらに、自然を大事にされていらっしゃる皇居には、狸が何匹か棲み着いているそうで、その姿を見た外国のご来賓の方が目を点のようにして驚かれたといったエピソードをご紹介されると、座が大変盛り上がりました。

 御食事後の後席(ティータイム)があり、最初、皇后陛下のお側でお話する機会をいただきました。その折、両陛下が皇太子殿下、妃殿下でいらした頃の昭和36年に、全日本産業安全大会にご出席されるためにご来県され、当時の吉田工業をご視察された際のお写真をご覧いただきましたところ、皇后陛下がご結婚されて間もない頃だったとすぐに思い出され、大変懐かしく感じておられるご様子で、そのお姿を拝見しうれしく存じました。

 

15グランミラージュ御着.jpg


6 YKKセンターパーク
 午後からは、黒部市のYKKセンターパークをご視察され、YKKの関係者はもとより地元黒部市の皆さんなど多数の温かい熱烈な歓迎を受けられました。天皇皇后両陛下は、吉田忠裕代表取締役会長CEOからの説明で、水密・気密ファスナーが採用された宇宙服やファスナーの製造過程、アルミや樹脂を利用した窓枠の構造などについて説明した展示などをご覧になられました。また、2006年から整備が進められてきた「ふるさとの森」の現状をご視察されました。黒部川扇状地に原生していた樹木の種子から苗づくりをはじめ、地域住民の皆様の協力も得ながら敷地内に植樹してきた経過を興味深くお聴きになられました。また、吉田会長からは、県からの要請を受けて産業観光に力を入れていることをご紹介いただきました。センターパークを整備し、産業観光としての工場見学などを実施され、大きな成果を挙げておられることに対し、両陛下から「それはとても良いことですね」というお言葉がありました。

 

16YKKセンターパークのご視察.jpg

 

【5月29日(月) 行幸啓3日目】
7 高志の国文学館のご視察
 最終日となる29日(月)には、高志の国文学館をご視察いただきました。まず、中西進館長から、豊かで美しく、かつ厳しくもある越(高志)の自然・風土の中で懸命に生きて今日を築いてきた幾多の先人の心や文化を、次の世代に伝える文学の拠点をつくりたい、そのためにも、子どもたちや若者も含め、誰もが気軽にふるさと文学に親しみ楽しめる場としたいとの思いで開設したという設立趣旨をご説明申しあげました。
 その後、黒川真理さんが高志の国文学館の開館を記念し、万葉集をテーマに作曲された「月によせて」というオリジナル曲をお琴で演奏され、両陛下は興味深くお聴きになりました。

 

17高志の国文学館のご視察.jpg

 続いて、大伴家持の生誕1300年記念事業の一つとして行っている企画展「官人(つかさびと) 大伴家持」をご覧いただきました。入口近くで東大寺の大仏開眼供養の再現パネルをお目にされ、天皇陛下から「家持は大仏開眼の儀式に参加したのですか」というお訊ねがありましたが、碩学の中西館長も「参加したことを示す正確な記録はありません」とお答えされていました。また、同館長から、①重要文化財の「太政官符」や、平城宮跡から出土した「木簡」などの展示、家持が越中国内を巡察した際に詠んだ歌などについて、さらに、②家持は、官人として聖武天皇からの信任も厚く、越中国守として奈良の大仏の造営の資金確保なども熱心に行ったこと、③藤原氏の抬頭もあり、大伴宗家を継いだものの地方への赴任が多く、晩年は東北の多賀城に陸奥按察使兼鎮守府将軍として赴任し3年後に死亡したことなどについて、ご説明を受けられました。  
 両陛下には、2つしか現存しない大伴家持の署名のうちの1つである「太政官符」を興味深くご覧になられました。また、租税として能登から鯖を平城京に送っていた際のものとみられる「木簡」については、私から、国の文化審議会の答申により近く国宝に指定される予定になっていることをご紹介すると、頷いておられました。
 常設展示室では、富山県ゆかりの俳人 前田普羅の「立山のかぶさる町や水を打つ」の直筆の歌を展示しており、皇太子殿下が平成27年11月に、国連の「水と災害に関する特別会合」でこの歌をご紹介されたことを中西館長からご説明いたしました。
 また、辺見じゅん先生やそのお父上の角川源義さんなど、富山県ゆかりの文学者や文化関係者の作品のご説明のほか、私から、県内の経済人からご寄贈いただいた後陽成天皇の宸翰で、桜を題材にして春の推移が巧みに表現され、書体も見事に書き分けられた和歌3首や、立山博物館所蔵の静寛院宮(皇女和宮)が寄進された立山曼荼羅などのご紹介などもさせていただきました。
 さらに、常設展示されているドラえもんの漫画などにもご関心を持たれましたので、藤子不二雄FさんとAさんは各々富山県の高岡市と氷見市の出身であると申しあげましたところ、皇后陛下はドラえもんをご存知の様子で、「どこでもドアは楽しいですね」という趣旨のお言葉がありました。

 

18高志の国文学館展示物.jpg

 なお、館内のご視察を終え、両陛下が研修室でご休憩なさっている折、両陛下が東北の被災地のお見舞いや戦没者の慰霊を幾度もなさっていることについて、中西館長が全国各地を転任した家持の足跡になぞらえて、どのようなお気持ちで各地に行幸啓されているのかをお伺いしたところ、天皇陛下は「国民が何より大切です」と答えられ、皇后陛下も頷かれたとのことです。同館長が、「be(存在)ではなく、do(行動)をなさっているのですね」とお尋ねすると、皇后陛下が「doよりもbeが大事です」と改められたと報道され、同館長からも同様のお話を伺いました。現憲法の下で「日本国と日本国民統合の象徴(The Emperor shall be the symbol of the State and the unity of the people)」とされるお立場を深く思い巡らされた上でのお言葉であり、かつて宮中で歌会始の召人を務められ、4年前に文化勲章を受章された中西館長との間でこそ発出されたお言葉と拝聴し、深く心に刻むべきものと感じました。

 

8 富山県美術館での御会食
 富山県美術館でのお昼の御会食では、山本宮内庁長官(昭和48年から2年弱、富山県庁に赴任されており、ご縁を感じます)、河相侍従長、稗苗県議会議長、森富山市長、村上富山市議会議長などとご一緒に陪席させていただきました。「アートとデザインをつなぐ美術館」を目指すという設立の理念をご説明申しあげるとともに、お食事会場となったアトリエでは、子どもたちがデッサンや、小さな木片を使った動物づくり、ポスター製作などを行っていることをご紹介しました。両陛下は子どもたちの教育、健やかな成長ということにとてもご関心をお持ちのご様子で、興味深くお聴きいただけたように感じました。
 稗苗議長から魚津の蜃気楼の話題が出され、5月、6月頃の晴れて日中の気温が高い日に出現することが多いなどのお話で盛り上がりました。
 また、28日の夕方も29日の朝も、立山連峰が稜線まで美しく見えたということも話題に出ましたので、私から、当初の予定にはなかったのですが、3階のホワイエから立山連峰の主な山のご説明をさせていただきたいと申しあげたところ、少しだけ時間を頂戴することができました。鮮明とまではいえませんでしたが、幸い、概ね立山連峰の稜線はご覧いただくことができました。  3,015mで一番高い大汝山や雄山、剱岳、弥陀ヶ原などについてご説明申しあげ、両陛下もホワイエ東側の全面総ガラスの窓に近付かれ、頷きながらお聴きいただきました。
 「こんな素晴らしい景観が見られる美術館は良いですね」とのお言葉をいただきましたので、私から、今年3月末の一部開館以来、未だ本格オープン前で、本来鑑賞していただくべき絵は一枚も飾っていない美術館に、約2か月間で約27万人(その後、3か月間で37万人超)もの方々にご来館いただいていることをご紹介しました。また、そこから一望できる県立の富岩運河環水公園については、(1)昨年5月14日、G7富山環境大臣会合を開催した際、これを機に「千年の桜並木」を創り出したいということで、樹齢2千年に達するとされるエドヒガンを中心に、一部コシノヒガン(富山県ゆかりの桜で樹齢500年)を、丸川珠代環境大臣(当時)などにもご参加いただき植樹したことや、(2)奇しくも6年前の同じ5月14日、「みどりの愛護のつどい」にご臨席いただいた皇太子殿下に、同じ環水公園内の隣接地に、同じエドヒガンを植樹していただいたこと、をお話し申しあげたところ、感慨深いご様子でお聴きくださいました。
 さらに、両陛下には、時間の制約で今回ご覧になれなかった富山県美術館の「オノマトペの屋上」に非常にご関心をお寄せいただきました。子どもたちに従前から大人気だった遊具「ふわふわドーム」を富山県美術館の屋上に移設するとともに、著名なグラフィック・デザイナーである佐藤卓さんにデザインしていただき、「ぽこぽこ」、「つるつる」、「うとうと」、「ひそひそ」などの擬音語、擬態語を表す「オノマトペ」で表現した遊具をたくさん創作してもらい、屋上に設置したので、子どもたちはもちろん、親子連れや熟年の方々にも大変楽しんでもらっているというお話を申しあげました。天皇陛下から「子どもたち、親の世代、祖父母の世代、いろいろな世代の人たちが集って楽しめる美術館というのは素晴らしいですね。非常に良いことですね」とおっしゃっていただき、大変うれしく存じました。

 

19富山県美術館御着.jpg20富山県美術館からの風景.jpg

9 富山空港からご帰京
 午後2時5分頃、富山空港に到着されましたが、入口前の広場で、日の丸の小旗を手に名残りを惜しみつつ両陛下のお見送りのため参集された約800人の県民の方々に何度もにこやかに手を振り会釈で応えられていました。

 

21富山空港御着.jpg
 ご休憩の場所で、お昼の御会食の際に富山県美術館の「オノマトペの屋上」に両陛下がご関心を持たれましたので、その屋上で多くの子どもたちがピョンピョンと満面の笑顔で遊んでいる写真を急遽取り寄せ、ご覧いただきました。両陛下は大変ご興味をもたれ、皇后陛下から「子どもの頃から美術館に親しめるのは良いことですね」とのお言葉をいただきました。

 

22オノマトペの屋上.jpg
 また、お見送りのご挨拶をさせていただいた際、あらためて、式典行事がつつがなく終わったことにお礼を申しあげると、天皇陛下から、「うまくいきましたね、本当によかったですね」とお声をかけていただき、感無量に存じました。
 午後2時40分過ぎ、両陛下を乗せた特別機が富山空港を出発しました。稗苗県議会議長、白井県警察本部長、森富山市長、村上富山市議会議長とともに、私も、展望デッキで、屋上などに詰めかけた大勢の県民の皆さんとご一緒に、両陛下を乗せた特別機が離陸し見えなくなるまで手を振ってお見送りをしました。

 

23富山空港御発.jpg

 3日間の限られた日程ではありましたが、両陛下が1年7か月ぶりに富山県にお越しになり、好天にも恵まれ、終始お元気なご様子で、式典会場やご視察先、沿道などで幅広い県民の皆さんに大変親しく接して下さり、温かいお言葉をお掛けになり、県民の熱烈な歓迎にお優しい笑顔で手を振ってお応えいただいたことは、この上ない喜びであります。また、両陛下には思い出深い行幸啓をしていただけたものと拝察し、ありがたく存じております。  
 また県民の皆さんも、両陛下のお優しいお姿、また大変気配りをなさる温かいお人柄に触れて、尊敬と親愛の情を一層深められたことと存じます。
 北陸新幹線が開業し、「とやま新時代」を迎えた富山県がさらなる飛躍に向けて全力で取り組むなか、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、「全国植樹祭」を富山県で開催できたことは、誠に喜ばしい限りです。両陛下に、立山連峰や富山湾をはじめとした雄大で美しい自然、新鮮で美味しい海の幸、野の幸、山の幸の魅力、多彩な歴史・文化、優れた技術を誇るものづくり産業などを直接ご体感いただくとともに、本県の魅力、強みを全国に広く発信することができました。
 全国植樹祭の本県での開催が決定して以来2年と9か月余、開催準備などにご尽力いただいた森林、林業、木材産業など各分野の関係者の皆様に深く感謝申しあげますとともに、ご支援、ご協力いただいた多くの県民の皆様や子どもたち、頑張ってくれた県の関係職員なども含めて心からお礼を申しあげます。今回の全国植樹祭の盛り上がりを新たなきっかけとして、また、一昨年10月の全国豊かな海づくり大会や昨年5月のG7富山環境大臣会合の成果も踏まえて、富山県における森・川・海を一体とした県民総参加の森づくりや海づくりなどの環境保全の取組みや、「富山物質循環フレームワーク」の一環としての食品ロス・食料廃棄物対策などを一層真摯に、かつ総合的・計画的に進めてまいります。

 むすびに、天皇皇后両陛下のますますのご健勝とご多幸、そして皇室の限りないご繁栄を心からお祈り申しあげますとともに、このたびの両陛下の温かいお言葉と仁愛あふれるお姿をありがたく深く心に刻み、今後とも、新幹線時代を迎えた富山県の限りない発展と県民の幸せの充実を目指して、市町村や県民の皆様と連携・協力しながら、全力を尽くしてまいります。

2017.6.30