富山県知事肖像

富山県知事 石井隆一

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「海のあるスイス」先進地調査団等派遣結果報告について(8月25日)

<要旨>

 8月7日(月)の深夜から8月13日(日)にかけて、「海のあるスイス」先進地調査団の団長として、経済・観光関係の皆様とともに、フランス・スイス等を訪問しました。

 今回の欧州訪問では、パリ、バーゼル、ツェルマット、シャモニーなど、4泊7日(うち2泊は機中泊)と非常に駆け足ではありましたが、多くの都市や地域を訪れ、いずれの訪問地においても、事前に期待していた以上の成果や前進があり、また、様々な出会いや学び、感動があり、有難く思っております。
(1) パリでは、「世界で最も美しい湾クラブ」のメイラ理事長やボダード事務局長とお会いし、富山湾の多彩な魅力や、3年前に「湾クラブ」への加盟が承認されて以来の様々な美しい富山湾の活用・保全の新たな取組みを紹介するとともに、改めて2019年における「湾クラブ」総会の候補地としてアピールしました。メイラ理事長からは、富山県の総会誘致に向けた熱意を高く評価しており、先頃開催した委員会において、2019年総会の富山県開催を内定したとの説明をいただくことができました。
(2) 約8年ぶりに訪問したバーゼルでは、まずバーゼル大学のコンスタブル副学長などとお会いし、富山県の医薬品生産額が、この間、顕著に増加し、全国1位になったことなどを説明しました。また、本年4月から医薬品工学科を新設した県立大学とバーゼル大学との新たな学術交流協定の締結について提案するとともに、現行の富山大学大学院理工学研究部とバーゼル大学理学部との協定の延長・充実について、遠藤学長ともあらかじめ相談の上、富山大学としては、その継続・充実を希望している旨をお伝えしましたところ、今後、協定の締結や延長・充実に向けて実務者協議を進めることで合意することができました。

 また、バーゼル・シュタットのエンゲルベルガー州参事及びバーゼル・ラントシャフトのペゴラロ州知事と懇談し、県薬事研究所への「未来創薬開発支援分析センター(仮称)」の開設や県立大学の医薬品工学科の設置等について説明の上、2009年に締結した交流協定書等の充実等について提案したところ、両州の首脳からは「交流をより充実して続けたい」との前向きの回答があり、具体的な内容を実務者同士で検討し進めていくことになりました。
(3) 立山黒部を真の世界的ブランドにする上で参考とするため訪問した世界の山岳観光の先進地であるスイスのツェルマットでは、ルッゲン観光局長、ブルガーゲマインデのビネー会長やツェルマットのハウザー村長など、現地の観光業界や行政を代表する方々とお会いし、目的別のマーケティング手法や、観光業界のデジタル化への対応の必要性と対策、地域が一体となった観光地域づくりの仕組みなどについて理解を深めることができました。また、①3,000m級の高地にありながら高級志向の観光客を満足させるクオリティの高いホテルから、家族連れ等をリーズナブルな価格で受け入れるコンドミニアムまで多様な宿泊施設の整備、②ショッピングエリアやレストランなど悪天候でも楽しむことができる施設の整備、③電気自動車のみが走行を許されるカーフリー・リゾートとするとともに、ホテル、レストランはもとより個々の住宅も自主的に花を飾るなどといった観光客が憩い楽しめる様々な工夫、④観光客の消費行動を喚起するオリジナルグッズや消費行動が生じやすい仕掛け等について視察し、富山県の今後の更なる観光振興に向け、大変参考になりました。
 さらに、フランスのシャモニー、イタリアのクールマイユールでは、スカイウェイ・モンテ・ビアンコの視察を行うとともに、運営会社の社長にお会いしてロープウェイ建設に至る苦労や経緯、360°ガラス張りで移動中に一回転するキャビン、ワイナリーやショッピングエリアの整備、会議室などとしても利用できる映画館の設置など、様々な工夫についてお伺いすることができ、大変貴重な機会となりました。
 今後は、今回の欧州訪問で得られた成果を大いに活かして、美しい富山湾の魅力の活用と保全、医薬品産業のさらなる発展、立山黒部の真の世界ブランド化などに向け積極的に取り組んでまいります。

 以下については、ご関心のある事項について、ご一読いただければ有難く存じます。

 

0 日程rev.jpg

1.パリ(フランス)
(1)「世界で最も美しい湾クラブ」理事長等との面談及び昼食懇談
 8月8日(火)11時30分から13時20分まで、「世界で最も美しい湾クラブ」のメイラ理事長、ボダード事務局長と昼食をはさんで懇談しました。
 最初に私から、今回の訪欧の機会に、パリで懇談したいとの要請を、ご多用の中、また夏のバカンスの時期にお受けいただいたことに、感謝の意を表しました。また、メイラ理事長とは、2014年10月、富山湾の湾クラブ加盟が全会一致で認められた、韓国・麗水(ヨス)で開催されたクラブ総会以来の再会となるほか、ボダード事務局長とは、同じく麗水(ヨス)でのクラブ総会でお会いした後、2015年10月に本県で開催された「全国豊かな海づくり大会」で来県いただいており、お会いするのは今回で3度目となるが、こうしてお二人に再びお目にかかれたことを大変うれしく思っていると申し上げました。

 

1 パリ 湾クラブ.jpg

 また、①メイラ理事長が市長を務めておられるセトゥーバル市のセトゥーバル湾(ポルトガル)は、イルカのコロニーもある風光明媚な湾であり、ボダード事務局長の地元のモルビアン湾(フランス)も、次回の総会開催予定地で、美しさで名高い湾と聞いているが、富山湾もこうした「世界で最も美しい湾」のメンバーに加えてもらい、大変光栄に思っている、
 ②湾クラブへの加盟後、富山県では、世界水準の観光資源である「立山黒部アルペンルート」に加え、「富山湾」を重要な観光資源と位置づける一方、「自然環境や景観を保全するだけでなく、観光資源として活かすことで観光振興や地域経済の活性化に貢献する」という湾クラブの活動理念にも則り、富山湾の魅力のブラッシュアップを図るとともに、標高3,000mの立山連峰から海底1,000mの富山湾までを一体として、高低差4,000mの魅力を戦略的に発信し、「選ばれ続ける観光地 富山~海のあるスイス~」をめざし、観光振興に積極的に取り組んでいる、
 ③本日は、短い時間ではあるが、皆さんに改めて富山湾の多彩な魅力や様々な活用・保全の取組みをご紹介し、2019年における湾クラブの総会の候補地としてアピールさせていただくとともに、今後の誘致活動について相談したい、とご挨拶しました。
 これに対し、メイラ理事長からは、①石井知事には、お忙しいところ、訪欧日程を調整のうえ、わざわざ懇談の機会を設けていただき、感謝申し上げる、
 ②3年前の富山湾の湾クラブへの加盟は自分もうれしく思っているし、その後の湾クラブの活動理念に沿った取組みにも感謝している、
 ③来年の4月に延期(当初今年9月開催予定)となった湾クラブのフランス総会や、その後の来年9月から10月に開催予定の台湾での総会には、ぜひ石井知事に参加してほしい、
 ④なお、かねてより誘致の要請があった総会の開催については、先頃開催した委員会において、2019年の総会は日本の富山県で開催することを内定した、
 とのご挨拶がありました。
 2019年の湾クラブ総会の開催地については、次回のフランス総会において候補湾がプレゼンテーションを行い、候補地が競合した場合、投票により決定すると聞いていたこともあり、メイラ理事長からこの段階で富山開催で内定との発言をいただけたことは想定外でしたが、同理事長からは、富山県は総会誘致に向けた熱意が非常に感じられ、委員会としてはその熱意を汲み取って富山湾を2019年の開催地として内定した、ただ、次回のフランス総会でプレゼンテーションを行ってもらったうえで、正式に決定するとのことでした。
 私からは、2019年の総会開催地を、富山湾に内定したと、この場でご表明いただいたことにお礼を申し上げました。
 また、①富山県では、一昨年3月、北陸新幹線が開業し、東京と2時間余でつながったこと等により、観光振興、まちづくり、企業立地などの面で大きな成果が生じていること、
 ②一昨年10月には、天皇皇后両陛下にご来県いただき、グル名誉理事長やボダード事務局長にも参加いただいた「全国豊かな海づくり大会」、昨年5月には「G7富山環境大臣会合」、今年5月にも天皇皇后両陛下をお迎えした「全国植樹祭」など、全国民的行事や国際会議が続けて開催され、各々高い評価をいただいたこと
 もあり、富山湾が湾クラブ加盟5周年の節目の年を迎える2019年における総会開催地として富山県が立候補させていただいた旨をお話しました。

 

2 パリ 湾クラブ.jpg

 その後の昼食懇談では、私からメイラ理事長とボダード事務局長に対し、
 ①富山県は日本の本州の中央部に位置し、交通アクセスに優れていること、
 ②海越しに3,000m級の山々が望める富山湾の景観は類まれで、大変美しく魅力的であること、
 ③「蜃気楼」、「埋没林」、「ホタルイカ群遊海面」など、珍しい生態系や自然現象がいくつも見られること、
 ④「天然の生簀」と呼ばれる富山湾で獲れた海の幸は新鮮でとても美味しく、特に、ブリやホタルイカ、シロエビ、ベニズワイガニに加え、最近、富山湾で獲れた魚だけで握る、富山でしか味わえない「富山湾鮨」が、富山県を代表する「食の魅力」となっていること、
 ⑤昨年来、「ミシュラン」の三つ星が北陸で唯一富山県の和食料理店(山崎)に付与されたこと、日本初進出の「ゴ・エ・ミヨ」が東京と北陸を対象としたガイドブックで、今年のシェフ賞に選定された3人のシェフのうち1人は富山のレヴォの谷口シェフであること(他の2人は東京のシェフでうち1人はフランス人)
 など、富山湾と富山県の魅力を改めて説明しました。

 

3 パリ 湾クラブ.jpg

 さらに、2014年10月の湾クラブ加盟後は、その加盟効果を最大限に活かし、観光振興や地域活性化に活かすため、様々な取組みを進めており、
 ①20万トン超級の大型クルーズ客船の寄港に対応した伏木富山港の整備をはじめ、日本海側最大級のマリーナの整備推進に取り組んでいること、
 ②富山湾沿いに、サイクリングコースや休憩スポットを整備するとともに、富山湾の絶景や食を満喫できるサイクリング大会を開催するなど、サイクリング環境の充実を図っていること、
 ③今年で3年連続、日本で最大規模のヨットレース(タモリカップ)を誘致し開催したほか、ヨット体験やダイビング、湾岸クルージング等の観光商品化も進めていること、
 ④里山林の整備や海岸林の保全など豊かな海を育むための森づくりに積極的に取り組んでいるほか、国連機関や北東アジア地域の自治体と連携し、富山湾の保全にも取り組んでいること、
 ⑤湾クラブ加盟後設立された、民間の応援組織「美しい富山湾クラブ」(永原会長、四方理事長)においても、富山湾の活用・保全の様々な取組みを行っていただいていること、
 ⑥昨年7月には、湾岸自治体や民間組織による「『世界で最も美しい富山湾』活用・保全推進会議」を設置し、官民連携や地域間連携による取組みを加速化するための体制を整えたこと、
 など、官民を挙げて富山湾の魅力のブラッシュアップや活用・保全に積極的に取り組んでいることなどを説明しました。

 

4 パリ 湾クラブ.jpg さらには、
 ①会場候補地としては、本県の中心部にある富山国際会議場を考えているが、国際会議に対応した施設環境が充実していることに加え、ホテルと隣接しているなど利便性が高いほか、空港や駅からのアクセスにも優れていること、
 ②誘致が叶えば、「海王丸パーク」などの富山湾岸はもちろん、世界的な山岳観光ルートである「立山黒部アルペンルート」や「黒部峡谷」などの美しい自然景観や、世界遺産「五箇山合掌造り集落」や「国宝瑞龍寺」などの歴史文化のほか、「富岩運河環水公園」や「富山県美術館」などを巡るほか、日本らしい伝統芸能・文化等の体験を通じて、富山県の多彩な魅力を体感していただく魅力あるエクスカーションも企画したいと考えていること
 などをアピールしました。

 

5 パリ 湾クラブ.jpg

 これに対し、メイラ理事長からは、
 ①富山湾の活用・保全の取組みは素晴らしい、との発言をいただくとともに、
 ②湾クラブとしては、今後とも活動理念に則って「湾の保全と振興」を両立させる取組みを進めていきたいこと、
 ③また、世界の地域ごとの加盟数を制限すべきとの意見もあるが、当面、制限しないこととしたこと、
 ④湾を愛する人々の相互理解を深め、人種や政治体制に関係なく活動を行っていきたいこと
 など、湾クラブの今後の活動方針についての発言があり、感銘を受けました。
 また、今回の懇談に同席いただいた、とやま観光推進機構の髙木会長からは、
 ①観光推進機構としても、また、「美しい富山湾クラブ」の副会長の立場からも、富山湾の保全と活用、2019年の総会の盛り上げなどに経済界として役割を担っていきたい、
 ②9月に富山商工会議所の視察先にポルトガルのリスボン市を予定しているが、時間の調整がつけばセトゥーバル市にも立ち寄らせていただくので宜しくお願いしたい、
 とのお話をいただきました。
 終わりに、私から、「本日は、2019年の湾クラブ総会開催地を、「富山湾」に内定したと表明いただき、改めて感謝申し上げる。来年4月の湾クラブ・フランス総会には、できれば自ら出席し、プレゼンテーションを行う方向で日程調整し、皆様とここフランスで再会したい。その際には、総会の富山開催を、是非正式にご決定いただきたい。」とご挨拶しました。

 

(2)伝統工芸品セレクトショップ「メゾン・ワ」の訪問
 メイラ理事長との懇談後、富山県の伝統工芸品などを取り扱い、日本の和のライフスタイルを提案するセレクトショップ「メゾン・ワ」を訪問し視察させていただきました。
 冒頭、「メゾン・ワ」を運営する塩川嘉章氏から、
 ①伝統工芸品を海外で受入れてもらうためには、販売市場のニーズや生活様式を踏まえた商品開発を行うことが必要である、
 ②高岡市の伝統工芸品はシンプルなデザインで実用性も高く、また製品の背後にある歴史や精神性なども感じられフランス人からの評価が非常に高い、
 との説明を受けました。
 私から、塩川氏に対して、高岡をはじめ富山県の工芸品を多く扱っていただいていることに謝意を表するとともに、今後とも県内の伝統工芸品等のPRや販路開拓、新商品開発等にお力添えをいただきたい旨、お願いしました。

 6 パリ メゾン・ワ.jpg7 パリ メゾン・ワ.jpg2.バーゼル(スイス)
(1)バーゼル大学副学長等との懇談
 パリを訪れた翌日8月9日(水)には、約8年ぶりに、世界の薬都といわれるバーゼルを訪問しました。まず、13時30分から14時40分まで、バーゼル大学でコンスタブル副学長、フヴィラー薬学部教授、セングスタング博士と懇談しました。

 

8 バーゼル.jpg

 冒頭、コンスタブル副学長から、富山県からの訪問に感謝するとともに、意見交換ができることを大変喜んでいるとのご挨拶がありました。
 次に、私から、
 ①8年前にバーゼルを訪問してバーゼル・シュタット州、バーゼル・ラントシャフト州との間で協定書を交わして以来、医薬品産業の振興に力を入れ、2015年の医薬品生産金額が10年前の約2.8倍の約7,300億円と全国1位となったことから、これまでの交流の取組みに対する謝意を表したいこと、
 ②今後とも、バーゼル地域とウインウインの関係で、更なる交流の促進を図りたいと考えており、ご理解とご協力をいただきたいこと
 など、ご挨拶いたしました。
 また、
 ①富山県や富山大学とバーゼル大学との交流を通じて、人的ネットワークの構築やモチベーションの向上が図られ、大変効果があったこと、
 ②日本では、本年2月に「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」が設置され、一定以上の高い評価が得られる産学官のプロジェクトに対し、国が財政支援する方向となっており、富山県では、医薬品産業の振興と首都圏等の学生を対象にした実践的な教育プログラムの提供に取り組む『「くすりのシリコンバレー TOYAMA」創造コンソーシアム(案)』を提案したこと、
 ③高津所長と相談し、来年5月に県薬事研究所の中に高度な分析機器等を集中的に整備した「未来創薬開発支援分析センター(仮称)」を開設し、バイオ医薬品等の付加価値の高い医薬品の開発を支援することとしていること、
 ④今年4月、富山県立大学に工学部では全国で初めて医薬品工学科を設置したこと、
 ⑤アメリカのFDAに相当する日本のPMDAの北陸支部とアジア・トレーニングセンター研修所が本県に設置されたこと
 など、本県の医薬品産業に関する最近の動きについて説明しました。
 さらに、私から、
 ①来年8月下旬に富山で開催するジョイントシンポジウムに、バーゼルから従来以上に研究者の方々に来県いただき、グローバル人材を育成するため、そのうち何人かの教授や研究者に県内大学生はもとより首都圏等から本県で研修を受けたい学生向けに講義などをしていただきたいこと、
 ②本県とバーゼルとの更なる交流を促進するため、新たに富山県立大学とバーゼル大学との間で学術交流協定を締結したいこと、
 ③現行の富山大学大学院理工学研究部とバーゼル大学理学部との学術交流協定が2019年1月に期限切れとなるが、遠藤学長は、富山大学としては、できれば今後も継続・充実していきたいとの考えであるので、バーゼル大学としても前向きに検討していただければ有難いこと
 を提案し要請しました。
 これに対し、バーゼル大学のコンスタブル副学長から、
 ①富山とバーゼル大学は取り組む方向性が似通っており、お互い得るものがあること、
 ②医薬品生産金額が10年間で2.8倍になるなど、富山県医薬品産業のめざましい発展の実績に対し祝意を表すること、
 ③富山大学とバーゼル大学との交流は良い協力関係ができており、今後も関係を継続し強化していきたいこと、
 ④現行の富山大学大学院理工学研究部とバーゼル大学理学部との協定が2019年1月までであることから、今後、その継続・強化について、県立大学との新たな協定の締結もあわせて、調整・準備を進めるための機会を望んでいること、
 ⑤来年の富山でのシンポジウムにあわせた、バーゼル大学教授等による講義については、技術革新も進んでおり、バーチャルでの講義を含め検討したい
 と回答をいただきました。
 私からは、
 ①富山大学とバーゼル大学の交流の継続・強化について好意的なご返事をいただきうれしく思っていること、
 ②新たに県立大学とバーゼル大学との協定を締結することと合わせて、それぞれ前向きに実施する方向で調整・準備したいので窓口となる方を定めていただきたい
 と要請しました。なお、本件については他の案件と合わせ本年9月に県くすり政策課の班長や大学関係者を派遣することをお話しました。
 コンスタブル副学長からは、富山大学との協定の継続・強化及び県立大学とバーゼル大学との新たな協定に係る窓口については、現場をよく知っているフヴィラー薬学部教授とすると言明していただきました。
 またフヴィラー教授から、今日、双方が同じ方向へ向かうことを意思確認できたことから、今後ともよろしくお願いしたいこと、また、新たな協定に関して、現在の大学の状況を踏まえ、進めていきたいとお話がありました。
 終わりに記念品として、コンスタブル副学長に対し、高岡漆器塗分パネル「立山にチューリップ」を贈呈しました。

 

 なお、会談に先立ち、ファーマセンター(バーゼル大学薬学部)を訪問し、フヴィラー教授から研究内容等について説明を伺い、研究室をご案内いただきました。また、バーゼル大学のバーゼル薬歴史博物館を訪問し、フラビオ・ヘイナー学芸員にご案内いただきました。

 

10 バーゼル.jpg

(2)バーゼル・シュタット及びバーゼル・ラントシャフト両州政府首脳との懇談
 8月9日(水)15時から16時20分まで、バーゼル・シュタット州庁舎特別会議室において、エンゲルベルガー・シュタット州参事(保健省担当)、ペゴラロ・ラントシャフト州知事らと懇談しました。

 

11 バーゼル.jpg12 バーゼル.jpg 冒頭、エンゲルベルガー州参事から訪問歓迎の挨拶とともに、バーゼルと富山県は、ともにグローバルに活動する製薬企業があることやライフサイエンスの交流が進んでいるとお話がありました。
 また、ペゴラロ知事からは、富山県からの訪問に感謝する挨拶とともに、両州は緊密な関係であり、ともに製薬企業の恩恵を受けているとお話がありました。
 次に、私から、
 ①8年前にバーゼルを訪問してバーゼル・シュタット州、バーゼル・ラントシャフト州との間で協定(宣言)を交わして以来、医薬品産業の振興を図る一環として、富山・バーゼルジョイントシンポジウムの開催やバーゼル大学と富山大学の交換留学生の派遣、両県州の企業による新商品の共同研究開発などに力を入れてきたこと、
 ②こうしたこともあって、2015年の医薬品生産金額が10年前の約2.8倍の約7,300億円と全国1位となったこと、
 ③これまでの両州政府の交流の取組みに対して感謝申しあげるとともに、更なる交流の促進を図っていきたいこと
 について、ご挨拶しました。
 また、
 ①富山県とバーゼル地域が協定を締結して以降、医薬品産業の交流以外にも、野川ご夫妻のご尽力により芸術文化の交流も活発に行われてきたこと、
 ②アメリカのFDAに相当する日本のPMDA北陸支部及びアジア・トレーニングセンター研修所が本県に設置されたこと、
 ③来年5月に県薬事研究所内に高度な分析機器等を集中的に整備した「未来創薬開発支援分析センター(仮称)」を開設し、バイオ医薬品等の付加価値の高い医薬品の開発を支援することとしていること、
 ④今年4月、富山県立大学に工学部では全国で初めて医薬品工学科を設置したことなど、本県の医薬品産業に関する最近の動きについてお話しました。
 さらに、私から、両州政府に対して、
 ①バイオ医薬品の研究開発の促進や大学間交流の強化等、8年前の協定締結時に比べ本県と両州を取り巻く環境が大きく変化していることを踏まえ、企業・民間によるバイオ技術交流に対する支援や大学の交流の推進など、現在の協定書を充実させ、これまで以上に両州の交流を促進していきたいこと、
 ②来年8月下旬に開催するシンポジウムに大学や企業の研究者のみでなく、お二人をはじめ州政府の関係者の方々にもご来県いただきたいこと
 をご提案しました。
 エンゲルベルガー・シュタット州参事、ペゴラロ・ラントシャフト州知事からは、
 ①本県の医薬品生産金額が全国第1位となったことに対し祝意を表する、
 ②シュタット州、ラントシャフト州及びバーゼル大学として、富山県との交流をより充実して続けていきたい
 とのお話がありました。また、来年8月下旬のシンポジウムにあわせた州政府の関係者の富山県への訪問については、今後検討したいと回答をいただきました。
 なお、エンゲルベルガー・シュタット州参事からは、PMDAの支部が富山県に設置され、国際的に貢献・協力されていることは興味深いとお話がありました。
 私から、
 ①前向きなお返事をいただきうれしく思う、
 ②9月に富山県くすり政策課の班長や大学関係者がバーゼルを訪問する予定であり、実務者同士で、富山県とバーゼル両州の協定書の充実、大学間の協定書の継続、充実等について検討し、進めたい
 とお話しました。
 終わりに記念品交換として、エンゲルベルガー州参事及びペゴラロ知事から記念品(バーゼルの歴史アルバムなど)をいただくとともに、私からエンゲルベルガー州参事に対し高岡漆器パネル「立山に雷鳥貝入」、ペゴラロ州知事に対し高岡漆器パネル「チューリップ貝入」を贈呈しました。
 

13 バーゼル.jpg

 引き続き、エンゲルベルガー・シュタット州参事、ペゴラロ・ラントシャフト州知事をはじめ両州幹部の方々が参加されてのレセプションが行われ、飲み物や軽食をとりながら、医薬品産業や芸術文化の交流、バーゼルの歴史やまち並み、富山県の豊かな自然や美味しい食の魅力などの話題を中心に、関係者が和やかに歓談しました。

 

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3.ツェルマット(スイス)
(1)ツェルマット観光局長との意見交換
 バーゼル訪問の後は、8月10日(木)から11日(金)にかけて、世界トップクラスの山岳リゾートであるツェルマット(町中は標高約1,600m)を訪れました。最初に、8月10日(木)の9時から10時20分まで、ツェルマットの観光事業の中核的機関であるツェルマット観光局のダニエル・ルッゲン局長にお会いし、ツェルマット観光局の取組等について説明をいただき、意見交換を行いました。
 冒頭、ルッゲン局長より、私たち調査団の訪問を歓迎する、との挨拶をいただいた後、私から、
 ①富山県は、3,000m級の立山連峰と3年前にユネスコが支援する「世界で最も美しい湾クラブ」への加入が承認された富山湾を有する、美しい山と海に恵まれた地域である、
 ②近年、観光振興に努めてきた結果、例えば、立山黒部アルペンルートを訪れた外国人旅行者数は、13年前と比べ10倍以上の約24万人に増加したが、課題はまだまだ多い、
 ③今後の更なる飛躍のため、観光地として世界で名高いツェルマットでの取組みについて学び、参考にしたい、
 と挨拶しました。
 つづいて、ルッゲン局長から、事前に送付してありました私たちの質問に答える形で、ツェルマット観光局の取組み等についてのご説明がありました。以下、その主な内容について報告します。
(ツェルマットの観光の現状について)
・ツェルマットの年間宿泊者数は約200万人で、国別では、全体の44%を占めるスイス国内からの宿泊者を除けば、特に、大きな割合を占める国はない。為替変動があっても、マーケットが世界中に分散しているため、ダメージを直接受けることが少ない
・ツェルマットにおける1日あたりの観光消費額は、オランダ140スイスフラン(約1万5千円)、スイス140スイスフラン(約1万5千円)、ドイツ170スイスフラン(約1万9千円)、フランス180スイスフラン(約2万円)、イタリア180スイスフラン(約2万円)、米国270スイスフラン(約3万円)に比べて、日本人が340スイスフラン(約3万8千円)で高くなっている
(ツェルマット観光局について)
・ツェルマット観光局の財源の多くは、宿泊者が支払う宿泊税と、企業が支払う観光促進税であり、前者はインフォメーションやインフラ整備のため、後者はマーケティングのために活用するというルールが決められている
(マーケティングについて)
・以前は、国別・地域別のマーケティングを行っていたが、近年は、ツェルマットを訪れる目的別のマーケティング(①スポーツ・スキーヤー、②トレッキング、③家族連れ、④マッターホルン、⑤マウンテンバイク、⑥国際会議等)を行っており、これにより商品開発がより的確に行えるようになった
・観光局の年間予算は8~9百万スイスフラン(約10億円)であり、職員は35名、うち18人がマーケティングに従事している
・ここ2年の間に、デジタル化が急速に進んでいる。観光局のみならず、ツェルマット内の各事業者がデジタル化に対応する必要があることから、イー・フィットネスというトレーニングツールを開発した。これにより、各事業者がインターネットの効率的な活用方法を習得することができる
・大手のインターネット宿泊予約サイトに、ツェルマットの宿泊予約を全て任せることはリスクがある。このため、ツェルマット独自の宿泊予約サイトを立ち上げたところ、現在は宿泊者の10%がこのサイトを経由した宿泊者であり、今後も伸びることが予想される
・観光客のデータ収集は、顧客ニーズの把握の観点からも重要であるが、情報を収集される側にとっては抵抗があるもの。このため、なるべく抵抗なく情報収集する手段として、例えば、来年には駅に人型ロボット(Pepper、日本製)を配置し、観光客に楽しんでもらいつつ情報収集を行う予定としている
(観光地域づくりについて)
・富山県には、観光以外の産業もあると思うが、ツェルマットは全ての産業が観光に依存しているので、ツェルマットの人たちは、どうすれば観光業がよくなるか常に考えており、我々にとって非常に仕事がしやすい環境である
・観光業は様々な業種の事業者が参画しており、事業者間の連携が非常に重要である。このため、観光関連事業者が参加する委員会や戦略会議を設置し、関係者が合同で戦略立案・観光地域づくりを進めている

(その他)
・ツェルマットのブランディングは、世界的に知名度の高い「マッターホルン」が軸。マッターホルンをイメージした様々な製品を販売しているほか、商標を守る活動も行っている
・ツェルマット観光局のような地域レベルでのDMOに加え、国レベル、州レベルでのDMO活動も行われているが、現状では、十分な連携が取れているとは言いがたい。場合によって、例えばイベントの際などに、緩やかな形で任意に連携している

 次に、私から、
 ①観光局とツェルマット村との関係、
 ②ツェルマットの観光戦略の最終的な意思決定権者
 について質問し、それぞれルッゲン局長から、
 ① 観光局長は役員会において選出され、役員会にはツェルマット村長がメンバーとして入っている。そういう意味において一定の影響力はあるが、あくまで観光局は行政とは独立した組織であり、行政の影響力は限定的である
 ② ツェルマットの観光戦略は、様々な業界の代表者からなる戦略会議において決定されるが、最終的な意思決定は各事業者に委ねられている。例えば、戦略会議において新たなケーブルカーが必要だという方針が出たとしても、実際に新設するかどうかの判断は、ケーブルカー事業者が行うこととなる
 との回答をいただきました。

 

15 ツェルマット.jpg

(2)ブルガーゲマインデ(地域共同体)幹部との意見交換
 引き続き、10時20分から約1時間、ブルガーゲマインデのフェルナンド・クレメンツ書記にお会いし、組織や事業の概要、行政機関等との役割分担等についてお話を伺いました。ブルガーゲマインデは、日本には存在しないことはもちろんスイスの中でも独特の組織で、住民が組織する共同体でありながら、ツェルマットに多くの土地を所有し、ホテルやレストラン等の運営やロープウェイなど観光事業への投資も積極的に行っており、ツェルマットの観光事業などの相当部分を自ら担う組織です。(なお、意見交換の会場であった「グランド・ホテル・ツェルマッターホフ」も、ブルガーゲマインデが100%出資している会社が運営しているホテルでした)
 冒頭、クレメンツ書記より、
 ①ツェルマットと同様に山岳観光地として有名な富山県から石井知事はじめ皆様をお迎えすることができ、非常に嬉しく思っている、
 ②2週間前に富士山に登ったが、次に日本を訪れる際は立山黒部アルペンルートを訪問したいと考えており、大変楽しみにしている、
 との歓迎のご挨拶をいただきました。
 その後、私たちから事前に送付した質問表に基づき、クレメンツ書記より、ブルガーゲマインデの歴史や役割、組織などについて次のとおりご説明をいただきました。以下、印象に残ったお話をいくつか記載します。
(ブルガーゲマインデについて)
・ブルガーゲマインデは、もともとは1618年に、住民たちがお金を出し合って、当時ツェルマットを支配していた司教から土地を買い取り、その土地を守っていくために設立されたもの
・それからしばらくは、ツェルマットは非常に貧しい村だったが、19世紀半ばにマッターホルン(1865年、エドワード・ウィンパー率いるイギリス隊が初登頂)をはじめとするアルプスへの登山を目的とした観光客が増加した。これに併せてブルガーゲマインデもホテルの建設・運営に乗り出し、本日の会場となっている5つ星ホテルのグランド・ホテル・ツェルマッターホフも、1879年にブルガーゲマインデが建設したもの
・現在、ブルガーゲマインデの会員は約1,500人であるが、会員になるためには、①先祖が会員であるか、あるいは、②ツェルマットに少なくとも10年以上継続して住んでいる住民が、4万スイスフラン(約450万円)の費用を添えて申請し、既存のメンバーの投票により認められれば、会員になることができる
(ツェルマット村について)
・ツェルマットは長らく貧しい農村であったが、観光客の増加に伴い外部からの定住者も増えるようになった。これを機に、従来ブルガーゲマインデが担っていた機能を分割する形で村役場が設置され、ブルガーゲマインデは土地の管理や福祉、文化振興を担当し、村役場は、教育や、道路などのインフラの整備等を担うこととなった
(ツェルマットの観光戦略について)
・ツェルマットの観光戦略を決定する場である戦略会議には、ブルガーゲマインデの代表者も参加している
・ツェルマットのセールスポイントは、①マッターホルンがあること、②電気自動車のみが走行を許される(ガソリン車等は走行できない)カーフリー・リゾートであること、③冬季も含め365日オープンしていることである
・ツェルマットのブランディングメッセージは「Your best mountain experience ever....and ever and ever again(あなたにとってこれまで最高の山の経験であり続ける)」
(観光業の人材育成について)
・スイスにはデュアルシステムという独自の教育システムがあり、通常の小中高・大学というルート(全体の約2割)のほか、中卒で実習生として現場に就職するルート(全体の約7割)があり、観光業においてはこれが非常にうまく機能している
・また、ヴァレー州では、Ritzy(リッツィ)という観光業従事者を対象とした独自の追加的な教育機関があり、また、観光局が提供するイー・フィットネスや、それぞれのホテルにおいても独自のトレーニングプログラムを持っており、人材育成には非常に力を注いでいる

 

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 富山県では、観光庁の日本版DMO候補法人に登録されている「とやま観光推進機構」とも連携しながら、富山県立大学と連携したWEBによる観光動態調査など、全国でも先進的な取組みを行ってます。今回ツェルマット観光局のルッゲン局長や、ブルガーゲマインデのクレメンツ書記からお聞きした内容も参考にしながら、今後とも、目的別のマーケティング手法などの積極的な導入をはじめ、地域が一体となった戦略的な観光地域づくりに取り組んでまいります。

 

(3)ツェルマット視察
 上記のお二人からのご説明と意見交換の後、ツェルマットが世界中から選ばれる観光地となっている理由を探り学ぶため、ツェルマットの主要な観光拠点の視察に出向きました。なお、今回の視察は、とやま観光未来創造塾の教授であり、長年ツェルマットを拠点に活動しておられる山田桂一郎氏(JTIC.SWISS代表、観光庁認定の観光カリスマ)にコーディネート・ご同行いただきました。

 

ゴルナーグラート鉄道(8月10日)
 午前11時半頃から、ツェルマットの町中と標高3,089mのゴルナーグラート展望台の約9kmを約40分で結ぶ山岳鉄道であるゴルナーグラート鉄道に乗車しました。車窓からはツェルマットの美しい山々や街並み、羊や牛などの放牧の様子を眺めることができ、車内では英語、ドイツ語のほか、日本語でのアナウンスも流れ、山頂でのアクティビティを楽しむ人たちのため、マウンテンバイクやスキー板のラックも設置されていました。

 

17 ツェルマット.jpgクルムホテル(8月10日)
 クルムホテルは、ゴルナーグラート鉄道の終着駅にある、マッターホルングループ(ブルガーゲマインデの100%出資)が所有する3つ星ホテルであり、スイスアルプスの中で最も標高の高い(約3,100m)ホテルとして知られています。客室数は22室で、室内はシンプルながら快適な作りとなっており、窓からはマッターホルンなどの4,000メートル級の山々を望むことができます。各部屋には、クルムホテルから望むことができる山々の名称と標高(部屋番号)が付けられており、訪れた観光客の興味を引く仕掛けとなっていました。また、同ホテルには、テラス席を供えたレストランや、「ここでしか買えない」オリジナルグッズを販売するショッピングモールが併設されており、訪れた観光客の消費を喚起するとともに、天候が悪い場合でも、屋内で楽しく過ごすことが可能となっていました。

 

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 クルムホテルの近くに展望台(標高3,130m)があり、山田桂一郎氏の案内で、そこまで深呼吸しながらゆっくり徒歩でたどりつきました。当日は、幸い、雨は時折ぱらつく程度でしたが雲の多い天候でマッターホルン(4,478m)は6合目位までしか眺望できなかったものの、オーバー・ガベルホルン(4,073m)など4,000m級の山々や迫力ある氷河をパノラマのように楽しむことができました。

 

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ゴルナーグラート鉄道の幹部との懇談(8月10日)
 クルムホテルに戻り、同ホテル内のレストランにおける昼食の際、ゴルナーグラート鉄道の親会社の役員であり、同鉄道のマネジメントを担当しているイヴァン・ファマッター氏にご同席いただきました。同氏からゴルナーグラート鉄道の概要について説明を受けた後、私から立山黒部アルペンルートや美しい富山湾など本県の多彩な観光資源を紹介しました。また、黒部峡谷鉄道の小橋社長から、黒部峡谷鉄道の概要と魅力を説明していただきました。意見交換の中では、黒部峡谷鉄道とゴルナーグラート鉄道との将来的な連携についても話が及び、最後に私からファマッター氏に対し、来日の機会があれば、富山県にもお立ち寄りいただきたいとお話したところ、「今後、検討したい」と、好意的なご返事をいただきました。

 

20 ツェルマット.jpgリッフェルアルプ・リゾート(8月10日)
 クルムホテル視察の後、ゴルナーグラート鉄道にてツェルマット駅まで戻る途中の山腹にあるリッフェルアルプ駅(標高約2,200m)で下車し、5つ星ホテルの「ホテル・リッフェルアルプ・リゾート」を視察しました。リッフェルアルプ駅から同ホテルまでは、徒歩でも行くことができますが、ゴルナーグラート鉄道の開通当時(1898年)の車両を模した専用のトロッコ電車で移動できるように配慮されており、宿泊客に特別感を与える演出となっていました。また、ホテルの内装は上品かつ豪華で、ホテル内のカフェではピアノの生演奏が行われており、また、同じ敷地内の教会でも音楽の演奏会が催されるなど、山岳ホテルでありながら、高級志向の宿泊客を満足させるクオリティの高いホテルとなっていることがよく理解できました。

 

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 その後、ツェルマット駅に戻り、ツェルマットの魅力あるまち中の散策を楽しませていただきました。

 

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マッターホルン・グレーシャーパラダイス(8月11日)
 翌11日の午前は、欧州で最も標高の高いクライン・マッターホルン展望台(標高3,883m)を有し、周辺では1年中氷河スキーを楽しむことができるマッターホルン・グレーシャーパラダイスを視察しました。ツェルマットの町中から、ゴンドラとロープウェイを乗り継ぎ、わずか1時間程度で展望台まで到達することができます。展望台には、マッターホルン・グレーシャーパラダイスの魅力を紹介する映像が流れる上映室のほか、アルプスの名峰などにちなんだ、ここでしか買えないお土産品が数多く並ぶショップも併設されていました。
 なお、ここでは、トイレを使用する際、2スイスフラン(約230円)が必要ですが、代わりにレシートが印刷され、このレシートを施設内の会計時に提示することで、同額分の金券として使用することができます。観光客にとっては結局プラスマイナスゼロですが、2スイスフラン分として使用するにはそれ以上の買い物が必要であるため、お客の消費行動が生じやすい仕掛けとなっていました。

 

22 ツェルマット.jpg23 ツェルマット.jpg(4)ツェルマット側主催による歓迎レセプション
 8月10日(木)の夕刻、私たち富山県からの調査団を歓迎するためのレセプションを開催していただきました。大変有難く、団員全員が参加させていただきました。
 レセプションの席上、まず、ツェルマット村のビネー・ハウザー村長から、富山県はツェルマット村と同様に、美しく素敵な山々に囲まれた地域であると聞いており、その富山県から石井知事をはじめ皆様をお迎えすることができ、大変うれしく思っている、との歓迎のあいさつを受けました。
 また、ブルガーゲマインデのアンドレアス・ビネー会長からは「日本は景観が美しく、人々がとても親切な国であり、その日本から訪問団をお迎えできてうれしく思う」、ツェルマット観光局のルッゲン局長からは「富山県とツェルマット両方の将来のため、今後も意見交換や交流を続けていきたい、今日はそのスタートの日にしたい」とのご挨拶をいただきました。

 

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 次に、私から、
 ①夏のハイシーズンで大変忙しい中、歓迎のレセプションを開催していただき心から感謝していること、
 ②富山県では、観光振興に力を注いできた結果、立山黒部アルペンルートを訪れる外国人観光客が13年前の約10倍に増加するなど成果が表れているが課題も多いこと、
 ③今後とも、更なる高みを目指すため、3,000m級の立山連峰に加え、3年前に「世界で最も美しい湾クラブ」への加盟が承認された富山湾の魅力も合わせ、より一層の観光振興に取り組んでいきたいこと、
 ④そのために、世界トップレベルの観光地であるツェルマットの取組みを学ばせていただくとともに、今後も末永く交流を続けさせていただきたいこと、
 についてご挨拶を申し上げました。
 その後、レセプションは終始和やかな雰囲気で進行し、富山県側の参加者とツェルマット側の参加者との間で、当日の視察の結果も踏まえ、活発な意見交換が行われました。レセプションで懇談している中、私からからビネー会長に、ブルガーゲマインデの多面的な活動に敬意を表させていただいた上で、午前中にブルガーゲマインデのクレメンツ書記からご説明をいただいた際、家族経営で後継者のいないホテルの買収を含め、この10年で100億円強の投資をしているとのお話がありましたが、随分意欲的ですねと伺ったところ、「世界のトップレベルのリゾート地はお互いに競い合っている。常に先を見て事業展開をすることで、今のツェルマットの発展がある」とのお答えをいただき、在任20年(1期4年)のビネー会長の経験に裏付けられ、時代の先を見据えた経営姿勢に感銘を受けました。
  
 懇談の結びに、髙木会長より、
 ①レセプションにご招待いただき大変感謝していること、
 ②それぞれ課題を抱えつつも、この素晴らしい観光地を作ってこられた皆さんの努力に感銘を受けた、
 とのご挨拶をいただきました。最後にツェルマット村のビネー・ハウザー村長より、「今回の交流をきっかけに、今後とも是非お互いの経験を共有し、意見交換や交流を続けていきたい」とのご挨拶をいただきました。

 

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4.シャモニー(フランス)、クールマイユール(イタリア)
 ツェルマットのマッターホルン・グレーシャパラダイスから下山した後、「立山黒部」において、今後、新たな「ロープウェイの整備」を検討する際の参考にするため、8月11日の夕方、フランス・シャモニーとイタリア・クールマイユールを訪れました。両都市を結ぶ最新鋭のロープウェイ(スカイウェイ・モンテ・ビアンコ)の建設までの過程、自然環境への配慮、利用者の満足度を向上させるためのターミナル施設や取組みなどについてお伺いするため、運営会社社長のロベルト・フランチェスコーニ氏などを夕食会にお招きし懇談を行い、翌12日、スカイウェイ・モンテ・ビアンコに乗車しました。

 

(1)モンテ・ビアンコ・ロープウェイ社長等との夕食懇談会
 夕食懇談会の冒頭、私から、
 ①フランチェスコーニ社長及びヴェッキマネージャーには、夏のハイシーズンでお忙しい中、ご対応いただき感謝していること、
 ②本県を訪れる外国人観光客は、アジアの国々を中心に年々増加しているが、欧米豪をはじめ更に多くの方々に来ていただくためには、より魅力的な施設の整備や観光客のニーズに応じた人的サービスが必要であること、
 ③このため、今後、新たなロープウェイの整備を行うことも検討しており、その参考とするため、世界で注目されているスカイウェイ・モンテ・ビアンコについて種々ご教示いただきたいこと、
 などの挨拶を行いました。
 その後、私たち訪問団員の質問に答える形で、フランチェスコーニ社長から、スカイウェイ・モンテ・ビアンコについて、次のとおり説明をいただきました。
 ① 昨年1年間にロープウェイに載せた利用者数は約27万人であり、また、スキーを目的にクールマイユールを訪れる観光客数は約40万人である
 ② 総建設費は約1億4,000万ユーロ(約185億円)であり、その90数%はヴァッレ・ダオスタ州が拠出しており、残りの数%が色々な経緯で民間出資となっている。また、モンテ・ビアンコ・ロープウェイ社も、出資額の90数%は同州の出資によっており、ロープウェイの運営やメンテナンスを担っている
 ③ 建設には環境や景観をはじめとする各種の許可(ほとんどが州政府の許可)を得る必要があり、そのための関係各所との調整等に約10年、その後、建設に約4年を要した
 ④ スカイウェイ・モンテ・ビアンコは、最先端の技術をつぎ込んで完成したものであり、例えば、(1)ゴンドラには床暖房を入れ凍結を防ぐとともに、窓には特殊なガラスを用いて曇らないようにしている、(2)山頂駅付近にも浄水施設を設置しており、夏のピーク時期でも環境汚染が生じない、(3)ロープウェイの運営に伴い生じるエネルギーをターミナル施設の給湯に活用している
 ⑤ 安全性確保については、(1)雪崩に伴う風による被害を軽減するため、ターミナル施設は航空力学を用いた設計を行っている、(2)電源がストップした場合に備え、2つ目の予備電気モーターがあり、それも使えなくなった場合は、3つ目に水力発電(自家発電)モーターも準備している。さらに、それも使えない場合は、ロープウェイに並行して走るロープを使って利用者を最寄り駅に連れ戻すことができる。このため、オープンから2年間、悪天候を理由とした運行停止は一度もない
 ⑥ 中間駅の映画館(約150席)は会議室としても利用可能であり、日本企業も含め民間企業によるイベント等の開催の需要も予想以上に高いことから、新たな映画館(会議室)(約80席)を建設中である。また、企業による利用はPR効果が高いことに加え、イベント等出席者の山麓でのホテル利用などにより地域経済への貢献につながる
 ⑦ スカイウェイ・モンテ・ビアンコ建設のプロジェクトは、ほぼイタリア人のみで行ったものであり、フランチェスコーニ社長は、プロジェクトの構想段階から関わっている

 夕食懇談会では、私を含め団員からの活発な質問に対し、フランチェスコーニ社長から一つ一つ丁寧にお答えをいただき、非常に有意義なものとなりました。

 

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(2) スカイウエイ・モンテ・ビアンコ等視察
 翌日、宿泊地であるシャモニー(フランス)と、エギーユ・デュ・ミディ山など4,000m級の山々を隔てた反対側に位置するクールマイユール(イタリア)を結ぶロープウェイを視察しました。ロープウェイは、フランス側とイタリア側に分かれており、イタリア側のロープウェイが「スカイウェイ・モンテ・ビアンコ」となっています。

 

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 最初は、宿泊地であるシャモニーの山麓駅(1,035m)とエギーユ・デュ・ミディ山頂駅(3,777m)を結ぶエギーユ・デュ・ミディ・ケーブルカーに乗車しました。高低差約2,700mを中間駅を挟んでわずか20分程度で結ぶ高速のロープウェイからは、シャモニー市内やそれを囲む美しいアルプスの山々を眺望することができました。
 エギーユ・デュ・ミディ山頂駅(3,777m)を降りた後、更にエレベーターに乗って標高3,842mのエギーユ・デュ・ミディ展望台を訪れました。展望台からは、剣岳をさらに急峻にしたような切り立った山容が特徴のグランド・ジョラス(4,208m)などモンブラン山系の山々を一望することができ、眼下には、モンブラン登頂を目指す登山者の姿も見られました。

 

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 次に、エギーユ・デュ・ミディ山頂駅を出発し、フランスとイタリアの国境にあるエンブロンネル駅(3,466m)へと向かうため、パノラミック・モンブラン・ゴンドラに乗車しました。この3連のゴンドラは、切り立ったアルプスの地形を利用し、約5kmもの距離があるにも関わらず、支柱が1本も立てられていません。約35分の乗車の間、天候にも恵まれたため、目の前にはヨーロッパアルプス最高峰のモンブラン(4,810m)をはじめとする壮大な山々、眼下には広大な氷河や数多くのクレバス(割れ目)が広がり、まさに絶景と言うべき眺めでした。なお、短い時間ではあるが、遠くに「マッターホルン」を眺望することができました。

 

29 スカイウェイ・モンテ・ビアンコ.jpg30 スカイウェイ・モンテ・ビアンコ.jpg ゴンドラ終着駅のエンブロンネル駅には、「360°テラス」と呼ばれる展望台や、ガラス張りの展望スペースが設置されているほか、天候が優れない場合でも施設内で快適に過ごせるよう、レストランに加え、周囲の山々で発掘された水晶を展示するスペースなどが設けられていました。
 なお、エンブロンネル駅では、モンテ・ビアンコ・ロープウェイのフランチェスコーニ社長のお計らいにより、同社マーケティング担当のアリシアさんにお出迎えいただき、その後、山麓駅までの間、アリシアさんにご同行・ご案内いただきました。

 

31 スカイウェイ・モンテ・ビアンコ.jpg エンブロンネル駅からは、いよいよスカイウェイ・モンテ・ビアンコに乗車し、中間駅(パヴィオン・デュ・モンフレティ駅)へと向かいました。スカイウェイ・モンテ・ビアンコのキャビンは、80人乗りと大変大きく、360°ガラス張りである上、移動中に1回転するようになっており、どの位置に乗車しても眺望が良いように工夫されていました。運行中も揺れが非常に少なく、また、乗降時にキャビンとターミナル駅との段差がないなど、前日のフランチェスコーニ社長のご発言のとおり、最先端の技術を駆使したロープウェイであることを実感することができました。
 中間駅(パヴィオン・デュ・モンフレティ駅)では、映画館においてスカイウェイ・モンテ・ビアンコの建設までの過程をまとめた動画が上映されていました。この映画館は、150席のホールや会議室やイベント会場としても利用できるということで、以前に、日本のカシオ計算機㈱の新商品の発表会にも使われたことがあるということでした。
 このほか、ワイナリーや限定グッズを販売するショッピングエリア、広々としたレストランなどが設置されていました。また、駅の外には、世界中の高山植物を集めた植物園や、子供向けの遊び場も設けられており、観光客がロープウェイそのものに加え、中間駅での滞在も十分楽しむことができるよう配慮されていたことが大変印象に残りました。

 

32 スカイウェイ・モンテ・ビアンコ.jpg33 スカイウェイ・モンテ・ビアンコ.jpg その後、再度スカイウェイ・モンテ・ビアンコに乗車し、山麓駅(ポンタル・ダントレーブ駅)へと向かいました。山麓駅では、モンテ・ビアンコ・ロープウェイ社のお計らいにより、ロープウェイの動力室を特別に見学し、担当技術者から説明をいただくなど、貴重な機会となりました。

 

34 スカイウェイ・モンテ・ビアンコ.jpg 最後に、シャモニーの魅力あるまち並みを視察しましたほか、ジュネーブ空港に向かう途中、短い時間ではありましたが、ジュネーブにある国際連合欧州本部前の広場にも立ち寄りました。

 

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 なお、今回のフランス・スイス等の訪問について、もっと知りたい方はより詳しい報告を下記HPに掲載しておりますので、ご覧いただければ幸いです。

海外出張活動報告[平成29年8月15日(火)] フランス・スイス・イタリア訪問結果報告
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1118/kj00017658-008-01.html

 

※今回の視察の主な参加者は以下のとおりです。

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2017.8.25