富山県知事肖像

富山県知事 石井隆一

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 富山県美術館が、3月の一部開館、4月の「オノマトペの屋上」の開園に続き、8月26日に全面開館しました。記念式典・レセプションには、県内外から約300名のご来賓の皆さんにご参加いただき、富山県の新たな美の殿堂のスタートをともにお祝いしました。28日には、前日、来県された黒岩神奈川県知事を美術館にご案内したところ、事前の期待を超えたすばらしい美術館であるとの感想をいただきました。なお、9月1日には、美術館の移転開館効果は年間約32億円であるとの日本政策投資銀行のレポートが発表されました。(9月22日)

1 富山県美術館全面開館の記念式典

 富山県美術館が、3月25日の一部開館、4月29日の屋上庭園「オノマトペの屋上」の開園に続き、8月26日(土)に全面開館いたしました。この日は、前日までの激しい雨が嘘のように素晴らしい好天に恵まれ、開館にふさわしい日となりました。

 午前10時からの記念式典は、まず富山ゆかりの世界的な音楽家シモン・ゴールドベルクに師事された花崎薫(かおる)さん・淳生(あつみ)さん夫妻による「バイオリンとチェロのための二重奏曲 ハ長調から第一楽章(ベートーベン)」の演奏がありました。
 続いて、私から、主催者として、概ね次のようなご挨拶をいたしました。「富山県美術館は、世界の20世紀美術の流れを展望することに軸足をおきながらも、永年、ポスタートリエンナーレの開催を続け、椅子の国際的なコレクションを収集、保有してきた県立近代美術館の理念を受け継ぎ、さらに発展させて、「アートとデザインをつなぐ」をコンセプトとする美術館を目指しています。本館の特徴につきましては、色々な切り口からの説明ができますが、大まかに申し上げますと、①2階は20世紀美術、人の心の中を見つめ、悩みとか苦しみ、喜びとか、様々な思いを感じ取り、発信するアートのフロア、②3階はそうした悩みとか喜びを他人に伝え、共有し、或いは解決の方向を示すデザインのフロア、③そして、屋上にはそれらを未来に向けて拓いていくのは子どもたちだ、との考えに立ち、子どもや若者が、大人たちも含めて、遊び親しみ体感する屋上庭園「オノマトペの屋上」がある、という構成になっています。この「アート」、「デザイン」、「子ども」の三つのコンセプトを組合せた美術館は、おそらく世界で初めてではないか、と考えております。もちろん、こんな立派な建築を設計して下さったのは、今日もご出席いただいている著名な建築家の内藤廣先生であり、屋上庭園をデザインして下さったのはNHKのEテレ「デザインあ」の番組などでご存知の佐藤卓先生です。お陰様で正面の全面ガラス張りの設計により雄大で美しい立山連峰の眺望を取り込み、富岩運河環水公園の水辺空間ともマッチし、さらに、県産材やアルミを積極的に活用した魅力ある施設となりました。開館記念として藤田嗣治の「二人の裸婦」を購入できたのも大変うれしいことです。(中略)この美術館が、本県の美の殿堂として、県民の皆様はもちろん、観光客も含め多くの方々に親しまれ、お一人おひとりの心に残り、何度もおいでいただける美術館となるよう、今後も雪山館長をはじめ関係職員、スタッフとともに努力してまいります。皆様の一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。」

 

 

1オープニング演奏、知事挨拶.jpg 

 続いて、田畑裕明厚生労働大臣政務官や稗苗清吉県議会議長から各々温かく心強いご祝辞を賜りました。
 さらに、この美術館の構想段階からご助言をいただいてきた青柳正規前文化庁長官から、「アートとデザインをつなぐ場を目指すというコンセプトをしっかり持ち、多くの魅力を備えた富山県美術館を創り出した構想力を心から尊敬する。かねて日本に国立のデザインミュージアムをつくりたいと考え、提起してきたが中々実現しない。日本の地方に、先にトップランナーとなる美術館がやっとできたという気持ちで心からお祝いしたい。アートとデザインの関係をはじめ、美術など文化のさまざまな領域でこれまでの境界が曖昧になっている中で、富山県美術館はシームレスな空間の実現と持続可能な社会にするというコンセプトを体現し、(中略)空間と時間を全て象徴する存在となっている。」「この美術館で国際北陸工芸サミットの開催が予定されるなど、富山には伝統工芸や利賀の劇団SCOT、おわら風の盆、曳山など、さまざまな文化がある。この美術館の全面開館を契機に、その魅力をもっと顕在化させ、世界に向けて発信することにより、富山で生きる希望、誇りを高めることとなる。富山の先駆的な取組みが各地の取組みの刺激となり、日本全体の元気につながっていくことを期待している。」との力強いご激励とお祝いの言葉を賜りました。お話を伺う中で、4年前、他の用務で来県された青柳先生を、大雨の中で環水公園西地区の高台にご案内し、新美術館の適地の有力候補としてご説明し、ご意見を伺ったこと、とやまの伝統工芸の活性化や国際北陸工芸サミットの構想についてご相談をしたことなどを、つい昨日のことのように想い起こしました。
 次いで、「アートとデザインをつなぐ」というコンセプトに強く共感していただいた三宅一生さんがいわばボランティア的に創って下さった新しい素敵なスタッフユニフォームのお披露目などがあり、式典を華やかに彩っていただきました。

 

 

2祝辞、ユニフォームお披露目.jpg 

 この後、全面開館と開館記念展「生命と美の物語LIFE-楽園を求めて」のスタートを記念するテープカットに続いて、内覧会として、開館記念展の作品解説が行われました。この展覧会は、アートの根源的なテーマである「LIFE(生命)」を、国内外の美術館コレクションの優品を中心とした約170点の作品により表現したものであり、ご覧いただいた皆様からも、「内外の美術館の名作を集めた、大変見ごたえのある貴重な展覧会である」といった高い評価をいただきました。20世紀初めのクリムトの「人生は戦いなり(黄金の騎士)」、カンディンスキーの「軟らかな中に硬く」、シーレの「カール・グリュンヴァルトの肖像」、ブロッホの「道化の行進」、菱田春草の「落葉」等々、「鑑賞できて良かった」、「もう一度ゆっくり見にいきたい」と言っていただける絵が多くあります。また、「かねて、ピカソ、ミロ、棟方志功などの名作を県美術館が所蔵していることは知っていたが、デルボーの「夜の汽車」、デュシャンの「トランクの箱」などの作品を所蔵していると知り、よろこばしい」とお手紙を下さる方もあるなど、大変うれしく誇らしく思いました。
 また、コレクション展示室において、開館記念として購入した藤田嗣治の名品「二人の裸婦」の除幕式を、稗苗議長を始め、購入にあたって多額のご寄付をいただいた民間の皆様(購入資金の半分は民間の皆様のご芳志によって賄わせていただきました)のほか、お申し出があり、今般、この作品と並べて展示させていただいた藤田の「猫」と「座る裸婦」を、各々所有しておられる、女優・エッセイストの室井滋さんとイセ文化財団の伊勢彦信代表理事とともに行いました。
 ご参加の皆様からは、「二人の裸婦」について「藤田嗣治の特徴である乳白色の下地と簡潔で流麗な輪郭線で描かれた裸婦の透明感のある肌が美しい、気品のある作品である」などといった高いご評価をいただきました。また、「猫」についても、「凛としてかわいい」、「座る裸婦」についても「デッサンの輪郭線が藤田らしく優れている」といった声が寄せられています。
 その後、屋外広場では現代彫刻家の三沢厚彦さんによる、新作の屋外彫刻作品「Animal 2017-01-B」の解説が行われました。立山開山伝説にヒントを得た親子グマ三体と屋上の白鷹からなる作品で、クマはいずれも温かみや少し愛嬌を感じさせる風貌で、特に子グマは子どもたちに人気があり、うれしく思います。

 

 

3テープカット.jpg4企画展作品解説、除幕式.jpg5藤田作品の鑑賞、解説.jpg 

2 富山県美術館全面開館の記念レセプション

 式典に引き続き、富山第一ホテルにおいて、富山県美術館全面開館の記念レセプションを開催し、県内外から約280人の方にご参加いただきました。最初に私から、全面開館記念式典や内覧会に引き続きレセプションにもご出席いただいていることにお礼申し上げるとともに、①今後、開館記念展の第2弾として、文化庁と本県をはじめ北陸三県が協力して、北陸の工芸の魅力を世界へ発信するイベント「国際北陸工芸サミット」を開催すること、また、②開館記念展の第3弾として、屋上庭園の遊具をデザインされた佐藤卓さんにご協力いただき、NHK Eテレで放送中の番組「デザインあ」とコラボし、子どもたちの「デザインマインド」を育む展覧会を開催することなどについてご挨拶いたしました。
 次に、ご来賓を代表して、富山県美術館を設計された建築家の内藤廣さんと高志の国文学館の中西進館長からご祝辞を頂戴しました。内藤さんからは、設計のコンセプトや工夫された点のご披露とともに、「アートとデザインが出会って、それぞれ新しい未来を拓くというチャレンジの時であり、課題もあろうが、この美術館を皆でほめて育ててほしい」とのご挨拶をいただき、中西館長からは、前身の近代美術館での思い出を交え、「美術と文学などの垣根を超えた交流をしていきたい」といったご祝辞を頂きました。
 青柳前長官に乾杯のご発声をいただいた後、佐藤卓さんや富山県美術館開設準備委員長の髙木繁雄さん、さらに日本橋たいめいけん三代目の茂出木浩司さんにもお祝いのコメントをいただくなど、多くの方々にご参加いただき、大変にぎやかで盛り上りました。
 ご出席の皆様には、鯛かまぼこや鱒寿司、富山湾鮮魚のお刺身、白海老唐揚げなど、富山ならではの料理を、地酒と共に楽しんでいただきました。

 

 

6屋外彫刻作品の解説、記念レセプションの様子.jpg6-2内藤氏、佐藤氏の祝辞.jpg

 

3 一般公開後の美術館と環水公園の状況

 この日は午後1時から美術館を一般公開する予定でしたが、開館前から約200名の方が並ばれたことから、開館時間を早めたとのことです。展覧会をご覧いただいた県民の方からは、「国内外から沢山の作品が集まっており驚いた」「開放的で明るく見やすい」といった声をいただいたようです。
 私も夕方に再度、美術館と周辺の様子を確認のため出向きました。富山駅方面から美術館への近道として新たに整備した環水公園内のいたち川沿いのプロムナード(千年の桜並木)では、開館記念のイベントとして、アートワゴン(屋台)を並べ、かき氷やストーンアートなどの販売を行っていました。出展者の方にお話を伺ったところ、「プロムナードの存在が余り県民などに知られていない。もっと、お客さんに来てもらえるようになってほしい」といったご要望をいただきました。富山駅から、環水公園のいたち川沿いプロムナード、美術館に至る主な道筋での案内板などの掲示、来館者などへのチラシ等で周知するなど一層のPRが必要であると感じました。
 美術館の屋上庭園「オノマトペの屋上」では、暑い中にもかかわらず元気に遊ぶ子ども達の姿が見られ、大変嬉しくなりました。館内でも多くの県民の皆さんが思い思いに美術館を楽しんでおられ、この美術館が県民の皆さんに親しまれ愛される美術館になりつつあることを改めて感じるとともに、今後も来館者一人ひとりの心に残り、また、来たいと思っていただける美術館となるよう、雪山館長やスタッフの皆さんとともに努力したいとの思いを新たにしました。

 

 

7アートワゴン、オノマトペの屋上.jpg 

4 黒岩神奈川県知事との懇談

 28日(月)、午前10時過ぎ、黒岩祐治神奈川県知事(京浜工業地帯の父といわれる本県氷見市出身の浅野総一郎翁のご縁で、両県の交流と神奈川の旅の魅力のPRのため、前日27日に来県)を、富山県美術館にご案内しました。
 まず、美術館の屋上からの富岩運河環水公園と立山連峰の眺望、富山県美術館の移転新築の考え方等についてご説明しました。また、交通の便がよく、景観も素晴らしい環水公園の西地区の高台が新美術館の適地と決定した際、課題の一つが高台にあった子どもたちに大人気のふわふわドームの取扱いでしたが、プロポーザルでこれを屋上に設置するとした内藤廣さんの設計案が最も優れているとされたこと、屋上のオリジナル遊具などのデザインは佐藤卓さんにお願いしたこと等をお話しました。屋上は、この日も暑い日にも関わらず、多くの親子連れの方で賑わっていました。黒岩知事が「ふわふわドーム」に乗って、ぴょんぴょんと飛び跳ねを楽しまれましたので、私もご一緒に童心に戻って少し飛び跳ねました。
 その後、館内に移動し、雪山館長の案内で、開館記念展「生命と美の物語 LIFE-楽園をもとめて」をご一緒に鑑賞するとともに、神奈川県立近代美術館から作品を4点お借りしていることにお礼を申しあげました。黒岩知事からは、高橋由一作「江の島図」について、現在の江の島周辺の変化や「江の電」があらためて人気となっていることと合わせて解説をいただきました。ポスターや椅子のコレクションが並ぶデザイン展示室で、2人が並んで座れるアントニオ・ガウディの椅子に隣り合って座りましたが、正しく座ると2人の顔が少し異なる方向を向く造りで、「何となく方向が違うのが面白い」と私が申し上げると、黒岩知事も「この距離感もいいね」とお互い笑いながらお話しました。
 次に、今後の県間交流についての両県知事懇談会を行い、その後、美術館のホールで行った共同記者会見では、まず、両県間の交流については、①教育旅行を、各々の県・市の教育委員会にも周知し、一層の推進を図るほか、②文化をテーマとしたシンポジウムを来年3月頃に首都圏において共同で開催すること、③両県が開催する見本市について相互に県内企業に向けて周知し、各々への出展を促進すること、④富山きときと空港サポーターズクラブ制度における神奈川県民枠の新設等について周知を図ることにより同クラブへの加入を促進し、富山羽田便の活用を促進することなどについて発表しました。また、富山県美術館については、黒岩知事から「屋上庭園にはびっくりした。子どもを楽しませる仕掛けにあふれ、作品の展示方法も個性的。素晴らしい美術館だ」と温かいご感想とコメントをいただきました。今後とも、産業や観光はもとより、文化面においても首都圏の雄県である神奈川県と交流を続けてまいります。

 

 

8黒岩神奈川県知事との懇談(屋上庭園).jpg9黒岩神奈川県知事との懇談(館内).jpg 

5.日本政策投資銀行レポート-富山県美術館の移転開館効果は年間約32億円

 9月1日、日本政策投資銀行富山事務所が、レポート「アートで選ばれる富山へ」を発表されました。
その概要は次のとおりです。
① 富山県美術館が、JR富山駅の北側に位置する、富岩運河環水公園内に移転新築された。富山県美術館がもつ、世界的に見ても価値の高い20世紀美術コレクションや、ポスター・椅子などのデザイン関連コレクションを効果的に展示している。
② 創作活動や体を使ったアート体験ができるほか、屋上には「オノマトペ」から発想したオリジナル遊具が並び、公園に遊びに行く感覚で気軽に利用できるよう工夫されている。美術館は一定の評価と入込客数が存在する施設エリアに設立され、富山における更なる誘引力が期待される。
③ 富山県美術館の来館者数は、部分開館であるにもかかわらず5ヶ月で50万人を超えた。旧美術館(富山県立近代美術館)の年間平均来館者数を1ヶ月で上回り、富山県にとって大きな経済効果をもたらすと思われる。
④ 当行にて富山県美術館の来館者増にともなう経済波及効果を推計した結果、年間で直接効果が21億円、間接一次効果が6億円、間接二次効果が5億円、計32億円の効果となった。

⑤ 富山県美術館は有力な観光資源の一つとしてだけではなく、アートやデザインの活用による富山県ものづくり産業の高付加価値化、創造的産業の醸成、それらによる生産性向上への寄与などといった多方面での貢献も期待できるところであり、富山県美術館のオープンは、富山がアートで選ばれる契機となるであろう。
 このように、富山県美術館を高く評価いただいたことは、大変うれしく、有難いことです。加えて、9月20日までに富山県美術館への来館者が70万人を突破しました。これからも県内はもちろん首都圏をはじめ内外から多くの皆様がアートやデザインに親しみ楽しみ学んでいただく場となり、何度もご来館いただける美術館となりますように、雪山館長はじめ関係職員、スタッフの皆さんなどとともに一層努力してまいります。県民の皆様の一層のご支援とご協力をお願いいたします。

2017.9.22